高校生物をまとめてみる

高校の生物教員が生徒たちへ向けて「生物基礎」・「生物」の内容をまとめています。2020年度からは「中学理科」も。

【生物基礎】第5章 生態系とその保全(炭素の循環・窒素の循環)

1.生態系

生物的環境(植物・動物など)と非生物的環境(光・温度など)をまとめて生態系という。

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 作用と環境形成作用

・作用

非生物的環境が生物に影響を及ぼすこと。

例: 日光が当たらなくなることで、植物が生育できなくなる。

 

・環境形成作用

生物が非生物的環境に影響を及ぼすこと。

例: 植物が成長することで、林床に当たる光の量が減少する。

 

生態系内での生物の役割

・生産者

無機物から有機物を合成できる独立栄養生物。

植物・植物プランクトン・藻類など。

 

・消費者

生産者が合成した有機物を消費する従属栄養生物。

植物食性動物・動物食性動物など。

 

・分解者

生物の枯死体や遺骸などの分解に関わる生物。

菌類・細菌類など。

 

物質循環

炭素や窒素などの物質は生態系内を循環し、その総量は生態系内でつねにほぼ一定となる。

一方、エネルギーは生態系内を循環しない

生産者に吸収された光エネルギーは、化学エネルギーの形で生物間を流れ、生物の活動に伴って熱エネルギーとして生態系外へ放出される。

 

キーストーン種

生態系のバランスを保つのに重要な役割を果たしている生物。

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岩礁の生態系において、最上位の消費者であるヒトデを除去すると、ヒトデに捕食されていたそれぞれの生物の個体数が増加する。

しかし、個体数の増加により各生物間での競争が激化するため、結果として生態系内の生物の種類数は減少してしまう。

 

2.炭素の循環

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炭素は、二酸化炭素(CO2有機物の形で生態系内を循環している。

有機物は、生産者・消費者・分解者の呼吸によって、最終的にCO2に分解され、大気中に放出される。

 

3.窒素の循環

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窒素は、窒素分子(N2亜硝酸イオン(NO2-硝酸イオン(NO3-アンモニウムイオン(NH4+アミノ酸タンパク質の形で生態系内を循環している。

大気中の窒素(N2)は、窒素固定細菌根粒菌(マメ科植物に共生)、(空中放電)などのはたらきによってアンモニウムイオン(NH4+)となる。

 

4.物質収支

生産者と消費者の物質収支

ここでの物質とは、生産者が合成した有機物のことを指し、生産者の光合成や消費者の捕食・被食による有機物の増加や減少をまとめたものを物質収支という。

 

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・生産者における物質収支

純生産量 = 総生産量 - 呼吸量

成長量   = 純生産量 -(被食量 + 枯死量)

 

・消費者における物質収支

同化量   = 摂食量 - 不消化排出量

生産量   = 同化量 - 呼吸量

成長量   = 生産量 -(被食量 + 死亡量)

 

生態ピラミッド

栄養段階ごとに、さまざまな数量(個体数・生物量・生産力)を調べ、栄養段階の低いものから高いものへ順に積み重ねて図示したもの。

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個体数ピラミッドや生物量ピラミッドは、逆転することがある。(生産力ピラミッドは逆転しない。)

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