高校生物をまとめてみる

高校の生物教員が生徒たちへ向けて「生物基礎」・「生物」の内容をまとめています。2020年度からは「中学理科」も。

【生物基礎】第3章 体内環境と恒常性(血液・肝臓・腎臓)

1.ヒトの体液

体液

血液・組織液・リンパ液からなる。

これらの体液(体内環境)の状態を一定に保とうとする性質が恒常性(ホメオスタシス)

 

血液の成分

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↑ 赤血球・白血球・血小板の「血球数」・「大きさ」のイメージ

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2.血液凝固

血液凝固のしくみ

1.血管壁が傷つくと、血小板が集まり、血液凝固因子を放出する。

2.血液凝固因子などの働きにより、フィブリン(繊維状タンパク質)が形成される。

3.フィブリンが血球を絡めとり、血ぺいが形成され、傷口がふさがる。

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*1

*血管壁の修復が完了すると、フィブリンを分解する線溶(フィブリン溶解)が起き、血ぺいが取り除かれる。

 

血液凝固反応の詳細  

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血液凝固を防ぐしくみ

クエン酸ナトリウムを加える ⇒ 血しょう中のCa2+(カルシウムイオン)を除く

ヘパリン・ヒルジン(酵素)を加える ⇒ トロンビンの働きを抑える

・棒でかき混ぜる ⇒ フィブリンを除く

 

3.心臓

哺乳類の心臓

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*2

2心房2心室

静脈から血液が流れ込む心房と、動脈へと血液を送り出す心室からなる。

心房と心室の境には血液の逆流を防ぐがついている。

   

心臓の自動性

右心房にある洞房結節(ペースメーカー)からの周期的な刺激によって、心臓は自発的に拍動している。

 

その他の生物の心臓

・魚類:  1心房1心室(心臓から出た血液はすべてえらを通る)

・両生類: 2心房1心室

・ハ虫類: 2心房1心室(心室を分ける隔壁ができ始めている)

・鳥類:  2心房2心室

 

4.循環器系

循環器系

セキツイ動物の場合、血管系(動脈・静脈・毛細血管)リンパ系に分けられる。

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*3 

動物の血管系

閉鎖血管系

 毛細血管をもち、血液が血管内を流れる。

 例: セキツイ動物、環形動物(ミミズなど)

開放血管系

 毛細血管をもたず、血液が組織を流れる。

 例: 節足動物(バッタ・エビなど)、軟体動物(アサリ・イカなど)

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*4

 

5.酸素解離曲線

様々なO2濃度でのHbO2(酸素ヘモグロビン)ができる割合(量)を表したグラフ。

これによって組織にどれだけのO2が供給されたかがわかる。

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*5

グラフの読み方

1.肺のO2濃度・CO2濃度の情報から、肺でのHbO2量を求める。

2.組織のO2濃度・CO2濃度の情報から、組織でのHbO2量を求める。

3.肺胞でのHbO2量 - 組織のHbO2量 = 組織でO2を解離したHbO2量

つまりこれが組織にHbO2から供給されたO2量となり、組織に今どれだけの酸素が供給されているのかがわかる。

 

6.肝臓の構造と機能

肝臓の構造

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*6

肝小葉(肝細胞)からなる。

肝動脈と肝門脈から流れ込んだ血液は類洞(肝臓の毛細血管)を通り、肝小葉の間を流れる。

 

肝臓の働き

尿素の合成・解毒作用・胆汁の生成・物質の貯蔵・体温の調節の5つを知っておきましょう。

  

7.腎臓の構造と機能

腎臓の構造

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*7

腎単位(ネフロン)からなる。腎単位は左右の腎臓に100万個ずつ存在する。

腎単位は腎小体(糸球体+ボーマンのう)腎細管(細尿管)から構成される。

 

腎臓の働き

体内で生じた老廃物を尿として排出。ろ過再吸収を経て、尿が生成される。

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*ろ過されない物質 = タンパク質、血球

*100%再吸収される物質 = グルコース

 

8.体液の塩類濃度調節

硬骨魚類の体液濃度調節

・海水魚

 塩分濃度が 海水>体液 のため、体液中の水分が海水の方へ引っ張られる。

→ 水分を失い、体液濃度が上昇。

→ えらの塩類細胞から塩類を能動輸送で排出。(体液濃度を下げる)

→ 塩分濃度の高い(体液と同濃度)尿を少量生成。

 

・淡水魚

 塩分濃度が 淡水<体液 のため、淡水が体液の方へ引っ張られる。

→ 水分を吸収し、体液濃度が低下。

→ えらの塩類細胞から塩類を能動輸送で吸収。(体液濃度を上げる)

→ 塩分濃度の低い尿を多量に生成。

 

*能動輸送 … ATPのエネルギーを使った輸送。濃度の薄い方から濃い方へ物質を輸送するときに行われる。

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*1:生物知識の焦点 / 舘野正樹著 / Z会 より

*2:生物知識の焦点 / 舘野正樹著 / Z会 より

*3:リードα生物基礎 / 数研出版 より

*4:生物知識の焦点 / 舘野正樹著 / Z会 より

*5:生物知識の焦点 / 舘野正樹著 / Z会 より

*6:生物知識の焦点 / 舘野正樹著 / Z会 より

*7:生物知識の焦点 / 舘野正樹著 / Z会 より

*8:生物知識の焦点 / 舘野正樹著 / Z会 より