1.森林の構造
森林の階層構造
高木層・亜高木層・低木層・草本層・地表層(コケ層)・地中層からなる。
・林冠
森林の最上部にあり、茂った葉がつながり、光をさえぎっている部分。
・林床
森林の最下部にある。林冠が光をさえぎっているため、発達した森林の林床は非常に暗い。
・土壌
岩石やその風化物などの無機物と、生物の遺体・枯葉などの有機物からなる層。
落葉層・腐植層・母材の層(風化した母岩)・母岩の層(土地を構成する岩石)からなる。
2.光合成曲線
光合成曲線
植物にさまざまな強さの光を当てたときに測定されるCO2吸収速度を示したグラフ。
・光合成速度
実際のCO2吸収速度。見かけの光合成速度に呼吸速度を加えたもの。
光合成速度 = 見かけの光合成速度 + 呼吸速度
・見かけの光合成速度
測定されるCO2吸収速度。植物自身の呼吸によるCO2の放出が考慮されていない。
・呼吸速度
光の強さが0のときは、呼吸のみが行われている。
このときのCO2放出速度が呼吸速度になる。
・光補償点
光の強さを大きくしていき、光合成によるCO2吸収速度(光合成速度)と呼吸によるCO2放出速度(呼吸速度)が等しくなったときの光の強さ。
これより弱い光の強さでは、植物は生育できない。
・光飽和点
光の強さを大きくしても、光合成速度がそれ以上増加しなくなったときの光の強さ。
陽生植物と陰生植物の違い
・陽生植物(陽樹)
アカマツ・コナラなど。明るい場所で生育する。
・陰生植物(陰樹)
スダジイ・アラカシなど。暗い場所でも生育することができる。
3.生産構造図
生産構造図
生産構造を相対照度とともに表したもの。層別刈取法によって調べられる。
広葉型とイネ科型に分けられる。
・広葉型
広い葉が上部に集中するため、群集内部では急激に光が弱くなる。
・イネ科
細長い葉が斜めに位置するため、群集内部まで光がよく届く。
*生産構造
植物群落における、光合成を行う同化器官(葉)と、光合成をほとんど行わない非同化器官(茎・花) の分布の様子。
*層別刈取法
一定の高さごとに植物を刈り取り、同化器官(葉)と非同化器官(茎・花)に分け、それぞれの重量を測定する手法。
4.植生の遷移
一次遷移
溶岩台地など、土壌がほとんどない裸地から始まる遷移。
陸地から始まる乾性遷移と、湖沼から始まる湿性遷移がある。
二次遷移
山火事や森林伐採などの後から始まる遷移。すでに土壌が形成されており、土壌中に種子や地下茎が残っているため、遷移のスピードは一次遷移よりも速い。
・先駆種
遷移の初期の荒原に侵入する植物。 一般に陽生植物。
種子は小さく(分散力大)、成長が速い。
・極相種
極相林(陰樹林)を構成する植物。 一般に陰生植物。
種子は大きく(分散力小)、成長が遅い。
・ギャップ更新
極相林では、高木の枯死や転倒により林冠に穴(ギャップ)が開くと、そこで二次遷移が始まる。