高校生物をまとめてみる

高校の生物教員が生徒たちへ向けて「生物基礎」・「生物」の内容をまとめています。2020年度からは「中学理科」も。

【生物基礎】第4章 植生の多様性と分布(光合成曲線・植生の遷移)

1.森林の構造

森林の階層構造

高木層亜高木層低木層草本層・地表層(コケ層)・地中層からなる。

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・林冠

森林の最上部にあり、茂った葉がつながり、光をさえぎっている部分。

 
・林床

森林の最下部にある。林冠が光をさえぎっているため、発達した森林の林床は非常に暗い。

 
・土壌

岩石やその風化物などの無機物と、生物の遺体・枯葉などの有機物からなる層。

落葉層腐植層・母材の層(風化した母岩)・母岩の層(土地を構成する岩石)からなる。

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2.光合成曲線

光合成曲線

植物にさまざまな強さの光を当てたときに測定されるCO2吸収速度を示したグラフ。  

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・光合成速度

実際のCO2吸収速度。見かけの光合成速度に呼吸速度を加えたもの。

光合成速度 = 見かけの光合成速度 + 呼吸速度

 
・見かけの光合成速度

測定されるCO2吸収速度。植物自身の呼吸によるCO2の放出が考慮されていない。

 
・呼吸速度

光の強さが0のときは、呼吸のみが行われている。

このときのCO2放出速度が呼吸速度になる。

 
・光補償点

光の強さを大きくしていき、光合成によるCO2吸収速度(光合成速度)と呼吸によるCO2放出速度(呼吸速度)が等しくなったときの光の強さ。

これより弱い光の強さでは、植物は生育できない

 
・光飽和点

光の強さを大きくしても、光合成速度がそれ以上増加しなくなったときの光の強さ。

 

陽生植物と陰生植物の違い

・陽生植物(陽樹)

アカマツ・コナラなど。明るい場所で生育する。

・陰生植物(陰樹)

スダジイ・アラカシなど。暗い場所でも生育することができる。

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3.生産構造図 

生産構造図

生産構造を相対照度とともに表したもの。層別刈取法によって調べられる。

広葉型イネ科型に分けられる。 

・広葉型

広い葉が上部に集中するため、群集内部では急激に光が弱くなる。

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・イネ科

細長い葉が斜めに位置するため、群集内部まで光がよく届く。

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*生産構造

植物群落における、光合成を行う同化器官(葉)と、光合成をほとんど行わない非同化器官(茎・花) の分布の様子。

 

*層別刈取法

一定の高さごとに植物を刈り取り、同化器官(葉)と非同化器官(茎・花)に分け、それぞれの重量を測定する手法。 

 

4.植生の遷移

一次遷移

溶岩台地など、土壌がほとんどない裸地から始まる遷移。

陸地から始まる乾性遷移と、湖沼から始まる湿性遷移がある。

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二次遷移

山火事や森林伐採などの後から始まる遷移。すでに土壌が形成されており、土壌中に種子や地下茎が残っているため、遷移のスピードは一次遷移よりも速い

 

・先駆種

遷移の初期の荒原に侵入する植物。 一般に陽生植物。

種子は小さく(分散力大)成長が速い

 
・極相種

極相林(陰樹林)を構成する植物。 一般に陰生植物。

種子は大きく(分散力小)成長が遅い

 
・ギャップ更新

極相林では、高木の枯死や転倒により林冠に穴(ギャップ)が開くと、そこで二次遷移が始まる。