1.核酸
DNAとRNA
2.DNAの構造
ヌクレオチド
糖・塩基・リン酸を1セットとしたDNAの基本構造。
隣り合うヌクレオチドどうしは、糖とリン酸で結合している。
シャルガフの規則
DNA中の塩基は、AとT、GとCの割合が等しいという法則。
1950年にシャルガフによって提唱された。
DNAの立体構造
DNAは立体的には二重らせん構造をとる。
1953年にワトソンとクリックによって提唱された。
3.ゲノム・染色体・遺伝子
ゲノム
生殖細胞(卵や精子)のもつ染色体1セット(遺伝情報全体)のこと。
*ゲノムサイズ…ゲノムに含まれる塩基対の数。複雑な構造をもつ生物ほど、ゲノムサイズは大きい。
染色体
細胞の核の中に含まれるヒモ状の構造体。
DNAとヒストン(タンパク質)からなる。
遺伝子
DNA上に存在するタンパク質の設計図となる領域。
DNA中の遺伝子の領域はごくわずか。
*ヒトの場合
・体細胞一つ当たりの染色体数: 46本
・生殖細胞一つ当たりの染色体数: 23本 ←ここに含まれる遺伝情報全体がゲノム
・ゲノムサイズ: 30億塩基対
・遺伝子数: 22000個(DNA全体の1%程度しかない)
4.DNAの抽出
各操作をおこなう意味をきちんと理解することが大切です。
1.細胞(レバーなど)をすり潰す。
⇒ DNAとタンパク質の混合物ができる。
2.トリプシン(タンパク質分解酵素)を加える。
⇒ タンパク質を分解する。
3.食塩水を加える。
⇒ DNAとNa+を結合させ、DNAどうしを集合させる。
4.湯せんにかけ、ろ過する。
⇒ 熱によってタンパク質を変性させ、タンパク質を取り除く。
5.ろ液にエタノールを加える。
⇒ DNAはエタノールに溶けないため、DNAが沈殿として抽出される。
5.肺炎双球菌の実験
グリフィスの実験
肺炎双球菌(S型菌・R型菌)を用いて、形質転換という現象を発見。
⇒ R型菌が煮沸されたS型菌から何らかの物質(後にDNAと判明)を取り込み、S型菌へと形質転換を起こした。
エイブリーの実験
形質転換を引き起こす物質はDNAであることを証明。
1.S型菌の抽出物(DNA+タンパク質)に、
・タンパク質分解酵素を加える ⇒ S型菌のDNAが残る
・DNA分解酵素を加える ⇒ S型菌のタンパク質が残る
2.S型菌のDNAをR型菌に加えて培養する。
⇒ R型菌からS型菌への形質転換が見られた。
⇒ 形質転換を引き起こす物質はDNAである。
6.T2ファージの実験
ハーシーとチェイスの実験
T2ファージを用いて、DNAとタンパク質のどちらをもとにして子孫(子ファージ)がつくられるのかを調べ、子孫をつくるもとになる物質=遺伝子はDNA中にあることを証明。
*T2ファージは大腸菌に感染し、大腸菌内で子孫(子ファージ)をつくって増殖する。
1.DNAとタンパク質に放射性同位体を用いて目印をつける。
・DNA(C,H,O,N,P)を 放射性同位体32Pで標識
・タンパク質(C,H,O,N,S)を 放射性同位体35Sで標識
2.T2ファージを大腸菌に感染させる。
3.2の溶液を撹拌し、T2ファージと大腸菌を離す。
4.3の溶液を遠心分離にかけ、上澄み(T2ファージの殻)と沈殿(大腸菌)に分ける。
⇒ 沈殿(大腸菌)から DNAの目印である放射性同位体32Pが検出された。
⇒ 大腸菌内に入っている物質=子孫をつくるもとになる物質=遺伝子はDNAである。